生日婚礼

21歳になった千晴（上原美佐）は、結婚式の前夜、父（田中哲司）の礼服のポケットから１本のビデオテープを見つける。箪笥の奥にふと目をやると、他にも数本のテープが大切に置いてあった。『千晴誕生』『千晴１歳』『千晴２歳』…家族で過ごした数々の思い出がそこにはあった。そのひとつを再生してみると、無邪気に海岸沿いを走る小さな自分、父と母の姿が映し出された。ザーッという砂嵐とともに映像が終わったかと思った瞬間、「あ…ちぃちゃん？聞こえる？」　それは、若くして亡くなった在りし日の母（木村多江）が、大人になった千晴に宛てた、切なくも愛情溢れるビデオレターだった。結婚式当日。千晴は新郎（忍成修吾）とともに、天国から見守っていてくれる母へ、特別な“贈り物”を準備する……。